人工透析とは

腎臓の働きが悪くなった場合、人工的に血液をろ過して腎機能の代わりを務めるのが人工透析です。
慢性腎不全を発症した場合は、人工血液透析が必要となります。

人工透析

腎臓の働きが正常時の10%以下に低下すると血液のろ過が充分に行えず、心不全などを起こす危険性があります。そこで、腎臓に代わって人工的に血液をろ過して、体内の老廃物や余分な水分・塩分を排出するのが人工透析です。大きくは「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があり、ライフスタイルに合わせて選ぶことができます。

血液透析(HD)

全身の血液を体の外に出し、人工透析の中でろ過して老廃物や余分な水分などを取り除き、きれいな血液を体に戻す方法です。大量の血液を体外に出すために、腕の静脈と動脈をつなぎ合わせる手術が必要。通常は週3回、1回約4時間の透析を医療機関で行います。

血液ろ過(HF)

血液中の水分、老廃物、電解質を除去し、代わりに透析液に類似した成分の補充液を血液内に注入する方法。血液透析に比べて血圧が下がりにくいため、緑内障、心臓障害、透析アミロイド症などの患者さまに適しています。

血液ろ過透析(オンラインHDF)

通常の血液透析と血液ろ過を組み合わせた透析法。当クリニックでは、血液ろ過透析器にNIPRO社製『NCV-3』を採用。老廃物の除去量が多く体に負担の少ないオンラインHDFを全台に搭載しています。

腹膜透析(PD)

お腹の中に透析液を入れ、体内で血液を浄化するのが腹膜透析。自宅などで1日に数回、患者さま自身が透析液を交換し、月に1〜2回クリニックで検査を行います。透析液をお腹から出し入れするため、カテーテルと呼ばれるチューブをお腹に埋め込む手術が必要です。

ハイブリッド透析

腹膜透析と血液透析を組み合わせたものがハイブリッド透析。腹膜透析だけでは安定した治療が行えない場合に用いる方法です。

現在国内には約32万人の透析患者がおり、97%の方は血液透析を行っています。腹膜透析は透析時間の拘束がないため活動の自由がありますが、自身での手技獲得や7~8年で腹膜の機能低下により血液透析に移行しなければならない等の制約があり、3%程度の普及に留まっています。
いずれの方法も自身の日常生活動作レベルやライフスタイルにより選択してもらっており、透析開始が予想される1か月以上前には治療に対する準備の手術が望ましいです。
また、透析開始のタイミングを逸すると、症状の出現のみならず生命予後にも影響するため、主治医の判断に従い適切な時期での透析開始が必要です。

合併症予防

前述のとおり、オンラインHDFの方がより血液濾過用置換液が多いため、より多くの濾過をかけることができ、通常の透析では除去しにくかった老廃物の除去も可能になります。

特に、長期間透析を行っていると、透析アミロイド症という合併症を引き起こしやすくなりますが、オンラインHDFは、透析アミロイド症に伴う低血圧、骨関節障害、掻痒感、イライラ感、貧血などの合併症予防になると言われています。

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